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森川マサノリ × 渕上寛

 

渕上寛

いま最もヒップなファッショニスタ。関西を代表するファッションアイコンであり、セレクトショップ「PAssIM」(大阪・南船場)のオーナー。2010AWより自身のアパレルライン「MISS MUCH」も展開している。

●渕上:京都の店で勤めてて、今は大阪のお店で勤めてるんですが、京都のお店の展示会で始めて会って、なんだかんだ飯食べに行ったり。

●森川:同じ服を作っている人間ですけど、考えていることはまったく違う。それが面白い。デザインでも作り方でも人によって違いますよね。

●渕上:僕の場合は、今気になるホットワードを書いていく。ファッション関係なく。今期だと、復興の時期だったので、『人のつながり』『温かさ』など復興にイメージされるもの。『立ち上がる』など前向きなキーワードを書いていく。後、気になる色も書いていく。

 ある程度そこでテーマ性を決めて、スタイリングから組んでいく。

この春夏で言うと、ノースリーブ・・長袖シャツほしいな。チェックシャツ・・デニムがほしい。ショーツがほしい・・・ってアイテムで書いていって。

それからアイテムカテゴリーで何個かデザインして、一番いいので商品化する。ってのが僕のやり方。

僕はずーくん(森川氏のことをそう呼んでいる)みたいに他のお店におろすとかなくて、自分の店舗で売るので、僕があんまり好きじゃないものは作らない。入れない。

バイイングしているので一ついえるのが、今メンズで10ブランドくらいやらしてもらってるんですけど、どのブランドでも提案してるのは大体似たりよったり。例えばピーコート出す時期だとどこもピーコート出してる。

そこに僕は一番いいピーコートしか入れない。

セレクトショップでありがちなのが、違うブランドやからと言って、ピーコート2個くらい置いてる。

それってバイヤーの腕ってどうなん?と思う。

僕の“ベストオブ”を選びたい。

一番自分が気にいったものしか入れない。

 

●森川:(話聞いてて)かぶってるのがほぼない。(笑)

渕上さんの場合は店の母体があるので、こういう方法が合ってると思う。

渕上さんは洋服を楽しんでる感が出てる。そういうのが軸なんですよね。

僕は自分が思ったこと。疑問に思ったことをテーマにまず考えて。

服のデザインは後。

見せ方。どういう空間で発表するかで先に考える。

こういう映像・こういうライティング使って・・・がまず最初で、それを演出家に頼むだけ。

そこに要素(素材)に合うデザインを考えていく、というのがスタンス。

自分で提案したいスタイルを重視している。

VラインとAラインというのを軸でおいて、ラインから決めちゃったりする。

僕は昔の作り方なのかもしれないな。ディオールがニュールックを出したとか・・・あるように、ルックを重視してる。

昔UEDAに行きだしたときは何だよそれ?って聞いてたんだけど、それをようやく活かせるようになったなぁと思う。

●森川・渕上: まったく違うよね。(笑)

●森川:時代にあってるのは渕上さんだと思う。

自分がそれをやっちゃうと軸がずれちゃうからやらないんだけど。

ファッションって疑問を持つものだと思うんです。どうしてこのデザインにしたんだろう?とか。その疑問を人に考えさせるようなものにしたいというのは昔からある。

渕上さんと僕はやってることが一見違うけど、言いたいこととかモチベーションが一緒だと思っている。熱意が同じ。だから合うんじゃないかな。

●渕上:ファッションの話してるとき楽しいじゃないですか。

正直、興味のない人にしゃべるのは時間の無駄だと思うんです。

ファッションのことになると、人を選んでしまう。仕事に対する姿勢とかもファッションの熱意の温度が違うとう~んって。

僕は基本ポジティブシンキングだから、前向きに考えてるといい方向に進むと思っているんです。デザイナーじゃなくてもポジティブが大事だと思う。

●森川;わかる。ドローイングひとつとっても、熱量ってわかるじゃないですか。

しゃべりが下手でも熱意があれば採用するし。

あそこに置いてある(学生作品を見て)学生が一つ作る作品とかでも熱量が入ってるか入ってない服って一瞬でわかる。

そこは感覚の部分だけど、消費者側も業界側も汲み取ると思う。

●渕上:僕の店は、メンズとレディースがあって女性3名雇わせてもらってるんですが、僕は人が一番大事だと思う。

僕が求めてるのは、基本の基本ですけど、熱意と元気。後、根性。

●森川:全部気持ち論ですね(笑)

●渕上:仕事もらいにくる人いい。あれやっといてほしいって言った時に、あ、それやりました!といわれるとうれしい。「でも~」って言う人はダメだと思うんです。言い訳せずに前向きに捕らえるのが大事。

●森川:僕も若いときそうだったけど、「でも~」って、人に矢印を向けがちになってしまうけど、そこをがんばって自分に矢印を向けること。

●渕上:言われたことに「なんでやねん!」って思うときもあるけど、後になって、あの言葉ってそういうことなんやってことある。経験するとわかる

 

◆お二人に質問

 

「渕上さんはファッションの学校に行ってたんですか?」

 

●渕上:僕は行ってないです。

でもずーくんとかと知り合うきっかけがあるわけだから、すごい有利だと思う。

●森川:リアルに言うと、渕上さんとかパターンを外注しているところを、自分でできたらタダでできるし、経費の部分でも全然変わってきたりする。

●渕上:それにいろんな道が開きやすい。

大学とかでは技術職にはなかなかなれない。

●森川:パターン外注したらワンピースが2万くらいかかるんですよね。

●渕上:100着とかになったら200万ですからね。

●森川:現実的になってきますよね。

●渕上;僕がファッションの学校に行かなかった理由は、当時ファッションに進むつもりはなかったんですよ。お笑い芸人になりたかったんで。いや本気で。

でも大学入って、色んな服好きとかショップスタッフの方々に出会って、“隣のおもろい兄ちゃん”くらいでいいかな~と思って、服に興味を持ち出して、もっとファッションもっとファッション!って。毎日が私服になるから、余計楽しくて。

なんでファッションを選んだかというと、就職活動もしてなかったんですけど、高卒前の春休みからずっと服屋でバイトしてて、大学って卒業論文ていうのがあって、それが大変で、それを書き上げるためにバイトをやめて、卒論を書き終えて、やることがなくなったとき・・・暗黒時代の到来ですよ。

やることがあるとそれをやってればいいから楽。でもやることがなくなると。え?って。皆もそうかもやけど、20歳そこそこって理想の自分を夢みてたりする。理想の30歳って“こういう男になりたい”って思ってた。 そこで今までの自分をかえりみて、ありがたいことに服のバイトで評価されてて、それって自信もつくじゃないですか。

それで、ファッションしかないわ!と思って。

ファッションは人と出会うツールだと思ってる。

30歳になって、いろんな人とつながって、色んな人と笑いあっっていたいって思ってる。

●森川:クリエイターやデザイナーも一緒。僕もしゃべるのが下手だった。

服で対話ができるようなコレクションをしたい。

それで疑問を持って発表したりしてた。

ファッションってコミュニケーションだと思う

●渕上:服を通して色んな人と出会ってる。変な言い方ですけど、電話帳8割ファッション関係の人ですもん。それがなくなったら自分なんなん?って感じ

僕はファッションを通して人と出会えなくなればファッションやめてると思う。

●森川:僕は『着る側』からファッションに入った。中学のときに姉の影響で、姉の服を借りたりとかで、自分で好きなようにコーディネートとして周りからの評価が一気に変わって。

●渕上:ファッションの入り口は“楽しい”!

仕事だとイヤなこともいっぱいあるし、そこで初心に“楽しい”があるから続けられる。

●森川:学校だと優秀賞とかもたくさんあるし、それが自信にもつながるだろうし。

まぁ、僕は地味でまじめだったんで、賞とか取ったこともないですけど。先生に一回も怒られなかったっていうことが自慢(笑)

僕だけですね。就職活動しなかったの。他の子はほぼ決まってたのに、僕は一回落ちてから心がやんでしまって。で、勢いで東京に行った。

何かしら行動することによって道は開けると思う。

プロデュース学科に入って、そこで何か発見があるだろうし。

自分が何も行動しないと何も生まれない。

 

「ビジネスにはどうやって向き合っているんですか?」

 

●森川:ショーにつかったものは全部サンプルです。売り物にしていない。

通常、コレクション発表しました。⇒その作品をリアルクローズで売ります。というのが当たり前。

違うことを実験的にしようと思った。そのシステムに対する皮肉というか、うちはこっちをイメージビジュアルとして出して、実際はこっちにリアルクローズがあって・・・という方法をとった。

それが運よく時代に合って業績が伸びたんですね。

今までの既存のシステムじゃなくて、自分の作ったシステムでも時代として延ばせる方法があるということを定義づけたかった。

それを自分的にはアプローチにしている。

ビジネスとの兼ね合いを考えるのは当たり前

テストマーケティング(って言うんですけど)を毎シーズンやっていってます。

大手とどうやって対抗していくかを考えると、やっぱりオリジナリティを追求するしかない。

やり方が今までどおりで正解なのか?これも疑問ですよね。僕は疑問だけなんで。

 

「流行ってどう思いますか?私は流行はありふれていつか過ぎ去るものだと思うのですが。」

 

●渕上:それがだめだとは思わない。若いころって、そういうのがダサいとか思ってた。でも今色んな経験をしていくうちに、それもひとつのファッションだと思う。

ただ、自分とは違う、という感じだけ。流行を着ている人が格好悪いとは思わない。

●森川:流行がいやなら、それを自分で皮肉って自分で作っちゃうとか?

●渕上:どっちかというと流行を出したい。

●森川:プラダとか流行を作っていくタイプですよね。それを追いかける形がいる。受け入れられないなら、違うものを作ればいいし。

●渕上:昔は真似されるのが大っ嫌いだった。でも今は大っ好き。でも真似するのは今でも嫌い。発信する側になると、真似されてるってことは伝わってるってこと。共感してくれてるんや!って感じ。昔はいやだった。今はうれしい。

自分の中で余裕が出たんかなと思う。

●森川:真似されるの昔から好きだったなぁ(笑)。ただ気まずいだけ。

 

「自分は今17歳の高3なのですが、専門学校に進学するまでに何かできることってありますか?あの頃こうしてたら良かったなというのがあれば」

 

●森川:そんなこと考えてなかった~。僕とかは、とりあえず大阪出ちゃうか~って感じ。今のうちに自分の知らない部分を探してみたり。美術館巡ってみたりもいいし。僕の趣味、美術館巡りなんで。コレクション雑誌見たり。

●渕上:ファッションなんか全然関係なくても、いいんじゃ?

●森川:確かに。あんまり入る前からファッションだけの勉強しすぎちゃうと、頭でっかちになっちゃうと思うから、自由に好きなことを。

●渕上:僕はファッション以外のことからファッションを得ることが多い。

たとえば、あのパネルの配色かわいいなとか思う。

●森川:それは僕も同じですね~。看板の配色とか見ちゃう。

●渕上:で、デザインに活かしたりする。旅行とか行っても、そこの服装とか得ることもある。

●森川:ノスタルジックなアンティークな洋装が多いところに行くためにお金をためるとかもいいんじゃ。ファッション抜きにしてもどこか行くのもいい。

●渕上:やりたいことを要はやるべき。

 

「日本とロンドンのファッションの作り方とかの違いは何ですか?」

 

●森川:作り方は、企業だと日本人はきれいに縫うって当たり前だけど、海外はそこ重視じゃない。なんだろう、思い描いてるビジュアルを大事にする。

日本人は几帳面で真面目だから、そういう服になる。欧米の人って西洋美術から入ってるからもっとやわらかいというか、そこはだいぶ違うかなと思う。

僕も企業でかっちかちの教え方をされてたから、これはありえないだろうと思うことが向こうではマルだったりとか。

NGだったことがマルになったとか。日本ではダサいと思われるのがマルだったとか。

●渕上:日本は今までなかったことは嫌がられる。僕はアメリカが好きで毎年行くけど、なかったことでもウエルカムな感じなので。

●森川:後、向こうは実力主義

同じ年の子が、僕がアシスタントしてるときにパリコレやってて・・・とか。そんなレベル。もちろん負けたくないというのがある。向こうは根本的に才能あれば認められますよね。

とにかく自分から動かない人間だとダメ。日本に限らず、海外は特に。

海外は来るものにはウエルカムだから。どれだけ努力するかにかかってくると思いますよ。